落ちる ES 例
【体育会サイクリング部6人で達成した日本縦断】
体育会サイクリング部の仲間と日本縦断を達成した。この日本縦断は夏休みを利用して行った。しかし、行程決めで頻繁に揉め、班が分裂した。私は全員での縦断達成に向け、再度集まり話し合うことを持ち掛けた。私は腹を割って話せる雰囲気を作るよう工夫。課題は、各自で旅の優先事項が異なっていることだと判明した。2時間の話し合いで、行程決めを班員が持ち回りで行うことを導入した。意見の優先権を持つ仕組みを取り入れたことで衝突が減少し、約1か月かけて6人で縦断を達成できた。この経験から、チーム全体の状況を把握し、課題解決につなげる力を身につけた。
自転車で日本縦断を成し遂げたというエピソードそのものは魅力的で、実行力のある人となりが伝わってきます。しかし、体験の価値を十分に伝えきれていません。このESを"受かる水準"に引き上げるため、次の4点のポイントを提案します。
受かる ES にするための添削ポイント
- 設問の意図を把握して答えているか?
- ?が明確か?
- ?ができているか?
- ?のイメージを提示しているか?
① 設問の意図を把握して答えているか?
なぜ三井不動産は「協働」の体験を問うのでしょうか。まずその意図や、入社後に求められる協働のシーンを理解することが重要です。
街づくりはデベロッパーだけでできるものではありません。地権者やテナント、ゼネコンなど多くの関係者との協力、協働が必要です。利害関係の不一致や意見の相違があっても、実現させたい街づくりを全員と共有し、熱量高くまとめあげていく役割が求められます。
この観点を踏まえた上で、次のBefore / Afterの文のうち、どちらがより評価されるかを考えてみてください。
【体育会サイクリング部6人で達成した日本縦断】
体育会サイクリング部の仲間と日本縦断を達成した。
【価値観の違いを力に変えて——6人で走り抜けた2400kmの日本縦断】
体育会サイクリング部6人で2400kmの日本縦断を達成した。
サイクリング部での意見の衝突をどうすり合わせたのか、をエピソードの焦点に当てることで、「デベロッパーに必要とされる協働の本質」をとらえたES内容に仕上げることができます。
なお「デベロッパーにおける協働」を深く理解するためには、採用HPにある「プロジェクト紹介」や「先輩社員の声」を読むのがおすすめです。例えば、三井不動産の新卒採用HPでは、渋谷区の宮下公園再開発プロジェクトの秘話として、次のようなエピソードが紹介されています。
ところが、道はそこからが険しかった。周辺住民および渋谷区議会から、計画に「待った」がかかってしまったのだ。中でも懸念が集中したのは、ほかでもないホテル。「もともとフラットな公園なのに、なぜ高層のホテルが必要なのか」「景観は損なわれないのか」「騒音は大丈夫か」。さまざまな声が寄せられた。もっともな不安だ。それらを解消しない限り、区議会から承認を得ることは難しい。
...(中略)...
「どんなに困難が多くても、あがいてでも実現しようとするのは『こんなにいいプロジェクトなのに、自分たちがあきらめたら終わってしまう』と本気で思うから。心の底から、街をよくしたいと考えているからです」。その熱量こそが、プロジェクトマネジメントにおいても鍵になるという。「私たち総合デベロッパーは、私たちだけでは事業ができません。地権者さん、設計会社さん、ゼネコンさん、テナントさんなど、本当に多くの人たちの力を借りるしかない。その時に三井不動産は、プロジェクトの中心で圧倒的な熱量を放ち、伝播させていく存在でなければならないんです」。
引用元: 三井不動産新卒採用HP「プロジェクトストーリーズ」
② ( ? )が明確か?
エピソードに具体的な記述を盛り込むことで、リアリティを持たせ、説得力を高めることができます。次のBefore・Afterを見比べてください。