落ちる ES 例
私を象徴するキーワードは「効率性」「問題解決力」「リーダーシップ」である。 私は大学の野球部で、チームの守備力強化に尽力した。当時、6試合で17個の連携ミスが発生しており、その主な要因は練習のルーティン化と活動制限による練習時間の不足であった。しかし、限られた活動時間の中で守備練習を増やすことは難しく、私は「効率的な改善策」を考えることにした。まず、試合で必要な対応力を鍛えるため、従来の作業的な練習を廃止し、試合形式の練習を中心に据えた。さらに、各選手が即座に改善できるよう、プレーごとにフィードバックを行い、高速でPDCAサイクルを回せる環境を整えた。フィードバックの際は、言及すべきことに優先順位をつけ、短時間で的確に伝えることを意識した。その結果、チーム全体の守備力が向上し、6試合を通じて連携ミスをゼロに抑えることができた。この経験を通じて、私は「限られた時間やリソースを最大限に活用し、課題を解決する力」を磨いた。
エピソード自体は、良い材料が揃ってます。企業の求める人材像を理解し、自分の強みとどこが重なるのか、その強みはどんな場面で発揮されたのか、を意識し言語化すれば"受かる水準"に仕上がります。具体的には、次の5点を添削で改善していきましょう。
受かる ES にするための添削ポイント
- 野村證券の求める人材像にマッチしているか?
- ?が伝わっているか?
- ?ができているか?
- ?が明確か?
- ?を把握して答えているか?
① 野村證券の求める人材像にマッチしているか?
野村證券が「あなたは一言でいうとどんな人ですか」という設問で見極めようとしているのは、「自社のカルチャーに合致する人材かどうか」という点です。
まずは、野村證券が大事にする価値観を把握するところから始めましょう。野村證券は「グループ行動規範」の中で、Values(わたしたち一人ひとりの価値観)として次の3つの要素を提示しています。
【Values(わたしたち一人ひとりの価値観)】
挑戦
変化を尊重し、成長への情熱と勇気を持って挑戦を続ける
協働
新たな価値を生み出すために、多様性を尊重し、組織や立場を超えて協働する
誠実
高い倫理観のもと、正しい行動をとる誠実さと信念を持つ
引用元: 野村證券「グループ行動規範」
これらの価値観は、社員一人ひとりの行動の指針であると同時に、採用においても大切にしている視点だと考えられます。
私を象徴するキーワードは「効率性」「問題解決力」「リーダーシップ」である。
私は「高みを目指し、仲間を導く挑戦者」である。その理由として、「挑戦」「協働」「成果」という3つのキーワードを挙げる。
Beforeの表現は、一見すると優秀さをアピールしているように見えますが、野村證券の求める 「挑戦」「協働」「誠実」といった価値観と直接的な接点が見えにくいのが弱点です。
一方、添削後のAfterの表現は、野村證券が大切にする価値観――挑戦・協働・誠実(成果という形で責任を果たす)――にしっかりと結びつけることを意識しています。
なお念のための補足ですが、「これらの3つのワードを書けば受かる」という話をしているのではありません。企業が大事にする価値観を理解し、それと重なるエピソードを題材にするという点が重要なポイントです。
② ( ? )が伝わっているか?
ここからは、一文目で提示した内容(=「高みを目指し、仲間を導く挑戦者」)を具体的なエピソードで裏付けていきます。エピソードを語る際に注意したいのが、「前提情報のズレ」です。
まずはBeforeの文を見てください。
私は大学の野球部で、チームの守備力強化に尽力した。当時、6試合で17個の連携ミスが発生しており、その主な要因は練習のルーティン化と活動制限による練習時間の不足であった。しかし、限られた活動時間の中で守備練習を増やすことは難しく、私は「効率的な改善策」を考えることにした。
「6試合で17個の連携ミス」を課題ととらえ、守備改善に取り組んだことが記述されています。しかし読み手には「なぜあなたが守備強化を担当しているのか」「この連携ミスはどれほど深刻だったのか」などが伝わっていません。前提が曖昧だと、「どのような思いで取り組んでいるのか」「どれほど大変なことなのか」が伝わらず、せっかくの経験が弱く見えてしまいます。